都内某所の雑居ビルの地下には、秘密のリングがある。
そこではうら若き少女や乙女達による非合法なボクシングの試合が開催されており、今宵も既に大勢の観客がリングを取り囲んでいた。
熱気渦巻くリング上、二人の女がスポットライトに照らされている。
肉感的で見事なプロポーションを持った二人の女は、セコンドから受け取ったボクシンググローブを両手に装着すると、改めてリング上で対峙する。
緊張感が会場を包む中、ワンピースタイプの真っ白な水着を身に着けた女が、挑発するように言葉を投げかけた。
「今日もKOしてあげるから、覚悟しなさい・・・香織・・・」
香織と呼ばれた女はベリーショートの髪を怒りで震わせ、逆に食って掛かる。
「はっ!・・・それはこっちのセリフよ!この前は運が悪かっただけだから、調子に乗らないことね・・・明日菜!!」
白い水着の女は明日菜という名のようだが、詰め寄る香織を無視した。そして背中まで届く美しい黒髪をなびかせながら観客席に向けて笑みを浮かべる。
その様子に香織は怒りを隠せず、大きな胸を震わせながら自身のビキニと同じ色をした真っ赤なボクシンググローブを胸元で打ち付け、早くもファイティングポーズをとって見せた。
両者の様子に、リングを取り囲む観客のボルテージは最高潮に達している。
会場では、ヒートアップする二人を余所に、司会者による試合アナウンスが流れ始めた。
「さあ!今夜の試合は5回連続で地下ボクシングの王座を防衛中の明日菜と、前回挑戦して惜しくも敗れた香織によるリベンジマッチです!」
「果たして!明日菜は6回連続防衛に成功し、地下リングの女王として記録を更新するのか!?・・・それとも香織の逆襲により下克上が実現するのか!?」
「この試合は3分12ラウンド制ですが、MPマッチのルールを採用し、より多く相手のマウスピースを吐き出させた方がポイントは有利となっています!」
テンションの高いアナウンスが続いていたが、それを掻き消すような歓声が地下には響き渡っている。
喧騒の中、地下女子ボクシングの女王である明日菜と、挑戦者の香織は互いの巨乳を押し付けあいながらただ黙って見つめ合っていた。
しかしその沈黙を破り、二人だけにしか聞こえない声で明日菜が話しかける。
「今日も何時ものグローブで可愛がってあげるわ・・・」
明日菜の両手を覆う黒いボクシンググローブは表面の皮革がところどころ擦り切れており、相当使い込まれているようだった。
この試合に向け、トレーニングやスパーリングで散々使用してきたのだろう。
汗や唾液の染み込んだ跡がくっきりと残っており、勝利を掴むため酷使されてきた明日菜のボクシンググローブは女王のオーラを放っていた。
傷だらけの女王のグローブに圧倒され、香織は若干顔を赤らめたが、押し返すように自分のグローブを見せ付け言い放った。
「こっちだって・・・この愛用のボクシンググローブでリベンジしてみせるわ!」
香織の薄茶けた赤いグローブは、俗にアンコと呼ばれるウレタンがナックルパートにたっぷりと詰まった丸っこい形状をしており、明日菜の物と同じくらいボロボロになっている。
これまでの激しい戦いをくぐり抜けて来たのが良く分かる代物だった。
「ふふ・・・それは楽しみね」
明日菜は満足そうに頷くと、余裕を見せつけるようにゆっくりと踵を返し、自分のコーナーに戻っていく。
そしてセコンドの少女から受け取った巨大マウスピースを口にはめ込んだ。
「むぐぅっ・・・!」
力強く噛み締めると、もっこりと明日菜の上唇が盛り上がる。
グローブで軽くポジションを調整すると、白いマウスピースは早くも唾液にまみれ、照明の反射で妖しくぬらぬらと光った。
香織はその様子に釘付けになりながらも、負けじと純白のマウスピースを咥え込んだ。
「んっ!・・・むぐぅ!!!」
香織の特大マウスピースは明日菜の物よりも更に一回り大きかった。
強引に咥え込んだものの、肉厚なバンパー部分は口先からはみ出ており、あふれ出た唾液がマウスピースの先端からポタポタと滴り落ちている。
その様子に今度は明日菜が頬を赤らめたが、それに気づく者はいなかった。
カーン!!!
ついに運命のゴングが鳴り響き、二人はリング中央へと歩を進める。
これまでの対決から慎重な立ち上がりが予想されていたが、女王の明日菜は先に動いた。その視線の先には香織の口元から半分以上はみ出ている特大マウスピースがあった。
「凄いマウスピースね・・・殴り甲斐がありそうだわ!!」
明日菜はそうつぶやくと一気に距離を詰め、長い髪を振り乱して左右のストレートを打ち込んでいく。
強烈なハンマーパンチが左右から香織の顔面に打ち込まれていった。
「んぶうっ!!ぶぼぁっ!!ぶぼおおっ!!ぶふぅっっ!!ぶぅべっっ!!!・・・」
ガードを崩された香織の顔面に速射砲のようなストレートが連続でめり込み、その口からは無様なうめき声が漏れ始めた。
常にむき出し状態の香織のマウスピースをなぶる様なパンチだ。「ビチャァッ!!ビチャァッ!!」という卑猥な音を立てて唾液が四方に飛び散る。
左右のパンチは狙い済ましたかのように香織の鼻の下に次々とねじ込まれ、打撃と共にグローブの臭いも鼻腔に叩き込んでいた。
明日菜が徹底的に使い込んだボクシンググローブは汗などの体液が染み込んでいるため、強烈な臭気があった。
「ぶぐぅっ!!あぶぅっ!!んぶぅっっ!!・・明日菜のっ!!ぶふぅぅっ!!グローブの匂いがっ!!ぶふっ!!・・臭っ!!ぶはぁっっ!!べぶぅっ!!・・・」
パンチによる打撃のダメージも蓄積していたが、ボクシンググローブに染み込んでいた強烈な匂いによって、香織は肉体的にも精神的にも蹂躙される事になった。顔面に深くめり込む明日菜のグローブは、これまで味わった事が無いような適度な弾力性と柔軟性を持っており、その衝撃には心地良ささえ感じられる。更にグローブに染み込んだ明日菜の匂いが香織を包み込む。それはまるでボクシンググローブに犯されるようなものであり、ボクシンググローブフェチの香織にとって、この攻撃は抗いようの無いものだった。
何時しか香織は恍惚とした表情で明日菜のパンチを浴び続けていた。
「良いサンドバッグだわ・・・でも、そろそろお寝んねしなさい!!」
ヨロヨロと後退し、唾液を撒き散らすだけの香織に対し、明日菜は強烈なアッパーを叩き込んだ。
「ぶうぅべええぇぇっ!!!!」
リング上にひときわ無様な呻き声と汗の飛沫が広がった。
明日菜の黒いボクシンググローブが、弾丸となって香織の口元に叩き込まれていた。
ズッポリと深くめり込んだグローブと、超巨大マウスピースの間から「ぶじゅぅぅっ!!・・・」と粘つく唾液の汁が飛び散り、リングに水溜りを作る。
「むぅぅ・・・べあぁ・・・ぁ・・・」
香織はヒザをガクガクと震わせ、顔面にグローブをめり込ませたまま、その衝撃と臭いに5秒ほど耐えていたが、やがて白目をむいて巨大マウスピースを明日菜のボクシンググローブの上に吐き出し、うつ伏せにダウンした。
「まったく、だらしないわねぇ?」
明日菜は見下したように妖しく笑うと、自分のボクシンググローブにべったりと張り付いた香織のマウスピースを観察し始めた。
ダメージを吸収する代償に涎まみれとなった巨大マウスピースはこれまで見た事が無いほど巨大で、よく口に入ったものだと感心させられる。
握るとマシュマロのような弾力があり、吸い付くような感触がグローブ越しにも伝わってくるようだった。
試合開始直後であったが、香織のマウスピースからは既に強烈な刺激臭が立ちこめており、明日菜にサディスティックな興奮を与えた。
マウスピースフェチの明日菜にとってこれ以上無い至福の瞬間だ。
「まったく・・・香織のマウスピースはなぶり甲斐があって良いわ・・・」
そう呟いて暫く玩具のように弄っていたが、満足したのか明日菜は自分のコーナーにあるMP回収BOXへとマウスピースを放り投げた。
「・・・スリー!!フォー!!ファイブ!!・・・」
一方、レフリーによるカウントが続く中、それでも香織は脚を震わせカウントエイトで何とか立ち上がった。
まだやれるという意思表示を見せると、今度は更に巨大なマウスピースを「がぼっ!」と頬張って見せる。
「あらあら・・・もう諦めた方が良いんじゃないの?」
そんな様子をみて明日菜はからかう様につぶやいたが、香織の口に収まりきらない超巨大マウスピースに内心穏やかではいられなかった。
その大きさは香織の可愛らしい口とは対照的に凶悪で、まるでふっくらと蒸しあがった ”あんまん” を無理やり口に突っ込まれているように見えて、明日菜の心を激しく揺さぶった。
レフリーによる試合再開の合図は既に出されていたが、香織のマウスピースに見とれていた明日菜は完全に動きが止まっていた。
香織はそれを見逃さず、逆襲のコンビネーションを叩き込む。
上下左右から鋭いパンチの雨が明日菜の全身に打ち込まれていった。
「んぶぅっ!!うぶぅうっ!!ぶふぅっ!!ぐぶぅぅっっ!!ぶびゅっっ!!ぐがぁっ!!・・・」
今度は一方的に明日菜がリングで踊らされる。汗と唾液が飛び散り、端正な顔も次第に腫れ上がっていく。
それでも必死に耐えて反撃のストレートを放つ明日菜だったが、香織のカウンター気味のアッパーカットが全てを打ち砕いた。
「ぶばああああぁぁっ!!!!!!」
断末魔にも似た絶叫がリングにこだまし、アッパーで顎をすくわれた明日菜の口からは、唾液とマウスピースが噴水のように「ぶしゃぁぁっ!」とぶちまけられていた。
ボチャァァッ・・・!!!
やがて湿った音と共に、水を含んだティッシュペーパーのごとくドロドロとなった明日菜のマウスピースがリングに落下する。
それは涎を撒き散らしながら一度だけ跳ねて静かになった。
むせ返るようなリングの上、大の字で横たわる汗だくの明日菜を見下ろしながら、香織は満足そうにマウスピースを拾いあげた。
若干形の歪んだマウスピースと、まとわりつく唾液の量から明日菜が受けたダメージの大きさが伝わってくる。
「ふふっ・・・ついに・・・明日菜からダウンを奪ったわ!」
香織は喜びに震えていた。
手ごたえを感じて自分のボクシンググローブを見つめると、ナックル部分には明日菜の汗と唾液がたっぷりと染み込んでいて、強烈な刺激臭がしてくる。自分のボクシンググローブに染み込んだ女王・明日菜の淫らな臭いに、香織は酔っていた。
「まだ・・・・・・勝負はこれからよ・・・・」
恍惚とした表情でグローブを観察していた香織が突然の声に驚いて振り返ると、レフリーから更に巨大なマウスピースを口に押し込まれた明日菜が、いつの間に立ち上がったのかフラフラと体を揺らして向かってくる。
試合再開が告げられる中、どこか悟ったような表情で二人は対峙していた。
汗だくになり、若干腫れた顔で両者は笑みを浮かべると、そこからノーガードの打ち合いを始めた。
肉を打つ鈍い音、体液が飛び散る音、そして二人のあえぎ声がリングに木霊する。
ラウンドが進む中、明日菜も香織も互いのパンチでマウスピースを吐き出しまくり、既に両者50個のマウスピースを失っていた。
両陣営のMP回収BOXには唾液まみれの巨大マウスピースが山のように積み重なっており、凄まじい臭気を放っている。
二人のセコンド役についていた少女達は、そのマウスピースの惨状に足がすくんでしまったのか、洗う事も忘れてただ呆然としている。
そしてラウンドはついに最終12Rへと突入していた。
「はぁ・・・ぶはぁ・・・はぁ・・・本当にしぶといわね・・・香織・・・」
「ぶふぅ・・・はぁ・・・はぁ・・・それはこっちのセリフよ・・・明日菜・・・」
決定打が無く、泥試合のまま互いに攻めあぐねていた二人は、しっとりと濡れた汗臭い肢体を絡ませあうようにパンチを打ち合っていた。
真夏の熱帯夜。30℃を越す気温の中で打ち合い、大量の汗をかいた二人は体力を急激に消耗しているようだ。
しかし試合終了60秒前というレフリーの声に反応して、二人は一旦間合いを取ると意を決したのか最後の一撃を放った。
どぼぉおおおおっ!!!
引き締まった肉体にボクシンググローブがめり込み、鈍い衝撃音がリング全体に響いた。
明日菜と香織が放ったフィニッシュブローは相打ちとなり、突き上げるようなアッパーが互いのみぞおちに深く突き刺ささっている。腹筋を押しのけるように、グローブは手首のあたりまで腹にめり込んでいた。
その状態で両者とも頬を最大限まで膨らませ、白目を剥いて必死に胃の奥底から突き上げてくるモノに耐えていたが、限界は直ぐにやってきた。
「んぶっ!・・・んぶうぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
「ぶへぇっ!・・・んぶえぇぇぇぇぇぇっっ!!」
二人の絶叫と共に、激しい勢いで胃液と超巨大マウスピースがビチャビチャと瑞々しい音をたててリングにぶち撒けられる。
ビチャン!・・・ビチャン!・・・ビチャン!・・・ビチャン!・・・ビチャン!・・・ビチャアアッ!!!
ダメージ軽減のために導入した二人の特大マウスピースは信じられないほどの大きさだった。
二つの超巨大マウスピースは胃液と唾液にまみれて絡み合うように跳ね回り、リング外へ飛び出ると、セコンドを務める少女に直撃してようやく止まった。
マウスピースの直撃を受けたセコンドの少女は一瞬何が起きたか分からなかったのか、飛び込んできたマウスピースをしっかりと掴んだまま固まっていたが、やがて両手に広がる温かい感触とマウスピースから立ちのぼる臭気で我に返った。
「やだっ!・・・・このマウスピース臭っ!!・・・」
「クサッ!!・・・・」
「汚い!!!・・・・」
セコンドの少女達はパニック状態になって、ラグビーの試合でもするかのように二つの巨大マウスピースをパスして回していたが、やがてそれらは女性レフリーによって回収され闇に消えた。
・・・少女達の悲鳴と観客達の歓声の中、一方でリング中央には明日菜と香織が恍惚とした表情で倒れこんでいる。
おびただしい量の体液で水溜りのようになったリングは、どこか甘ったるい女の臭いが立ち込め、地下リング全体を覆っていた。
両者ダブルノックアウト。
決着は次回へ持ち越しとなった。
『ボクシンググローブフェチの女 VS マウスピースフェチの女』 ・・・ 終わり
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